『無理。
これを食らったものはあとかたもなく消滅する。』
ピシッ・・・
シンイチの放った技の"雷術"が発動する。
ピシャャャャャャャン
そしてサキエルは内側から雷を食らう。
シンイチの言葉どおり消滅する。
『使徒撃退完了』
シンイチのマイク越しの声が酷く響いていた。
第四話「キョウの悪戯、ユイの告白」
シュウジ
薄暗い独房の中二人の少年が座っていた。
そこには窓などなく壁はシンジ達の世界にはない物質でできているようだ。
少年の一人が口を開く。
「なぁ、俺達はなぜこの世界に生まれたんだろな、キョウ。もっともっと楽しい世界があったはずだ。」
「・・・・・・」
「神って奴は残酷だよ。俺達に幸運をもたらした事がない。」
「・・・・・・あぁ。」
「いつになれば開放されるんだ?この実験に。」
「・・・・俺達がくそ爺どもが言う神の子になれば開放されるさ。」
「神の子か、人間が神になれる分けないのにな。」
「・・・そうだな。所詮人間は神になれない。神のマネは出来てもね。」
「・・・・・・・」
「・・・・だからこそ、くそ爺どもは俺達を神の子にするんだろうけど・・・・」
「俺達は人間だ!!!」
「・・・・・少なくともくそ爺どもはそう思わないよ。ここにいる奴らもね・・・・・」
「俺、一度でいいから外の世界って奴を見たいよ。」
「・・・俺もだよ。空ってやつを見てみたい。」
「絶対生きて出ような。ここから。」
「・・・あぁ、必ず出よう。」
話をしていると独房の強化扉が開く。
そこには完全武装している軍人がいる。
「出ろ、実験だ。ナンバー0001番」
「・・・・・・・・・はい。」
キョウが立ち上がる。体中に拘束具が、手足には鉄球がついていた。
人間には体を動かすことも出来ないだろう。
しかしそれをものともせずに歩いている。
「化け物が・・・」
軍人が忌々しく言う。
「・・・・・」
キョウは人形のように何も答えず、目を瞑っていた。
目を開けるとそこには軍人などいなく一人の少年が見えていた。
神秘的な白。事務的な白。虚無の白。
そこは、そんな白が全部混ざったような空間だった。
その中心に、一台の大きな白いベッドが置かれている。
その上に眠るは、漆黒の髪と黒曜石の瞳を持った少年が静かに寝ていた。
「・・・・・・」
キョウが体を動かして眠気を覚ました。
「・・・・知らない天井か・・・・」
キョウは意味もなく呟いた。
ネルフ医療棟
「お〜〜〜い、シンジ起きろ〜〜〜〜朝だぞ〜〜〜〜〜〜」
キョウのやる気がない声が部屋に響く。
しかしシンジは起きない。キョウは邪悪な微笑みを浮かべた。どうやら確信犯のようだ。
キョウは鞄からカツラを取り出し装着する。そして鏡を取り出し整える。
どっからどうみても女の子にしか見えない。
カツラを着けなくても十分女の子に見えるが・・・・・。
「よし、これで準備完了ーーー」
キョウはシンジに近づいてこう言った。
「シンジ〜〜〜♪朝よ〜〜〜〜♪早く起きなさ〜〜〜い♪」
キョウは甘い声でそういった。
第三者から見ると仲のいい恋人同士の女の子がなかなか起きない男の子を起こしにきているシーンに近い。
「う〜〜〜ん、後五分・・・」
シンジはお約束というかお決まりの台詞を言う。
「や〜〜〜ん、シンジったら♪昨日はあんなに激しかったからって甘えちゃだめよ〜〜〜♪」
確かにいきなり父親に呼ばれたと思ったら使徒にであって危険な目にあったりエヴァがどうとかチルドレンがどうとか
乗らないと人類が滅亡するなど激しい一日だったがキョウがそのことに対して指摘したのかは定かではない。
「う〜〜ん、ん!?」
どうやらその言葉に違和感を感じてシンジが眠りから覚醒したようだ。
「おはよ、シンジ♪」
キョウはものすごい笑顔でシンジにあいさつをした。
その微笑はシンジの笑顔と同じ威力かそれ以上だった。
「!!!」
シンジは驚きのあまり声を出せず口をパクパクさせていた。
「う〜〜〜ん、シ〜〜ンジ〜〜〜♪」
キョウはシンジに抱きついた。
「!!!!!!!!」
シンジは完全に硬直していた、まるで石像のように。しかしキョウのいたずらは続く。
シンジの頭の中はパニック状態だった。
「(誰!?この子は!?可愛いな、じゃなくて!!昨日何があった!?
ええっと、父さんに呼ばれてロボットが攻めてきて僕と同じ顔がいっぱいで怪獣が切り札で
ああ!!!もうわけわかんないよ〜〜〜〜(泣)それに激しいって僕は何をしたんだ〜〜〜!!!)」
「酷い!!もしかして忘れちゃったの!?私、初めてだったのに〜〜(泣)」
キョウは涙を浮かべる。確かにいっしょに寝たのは初めてだ。
「(うわーーーー!!!あぁ、覚えてないよ〜〜、せめて感触ぐらい覚えてても、ってちが〜〜う!!!!)
あ、あ、あ、あの〜〜つかぬ事をお聞きしますがお名前は?」
「・・・・覚えてない(泣)?}
キョウは目に涙をためて上目づかいをする。もう芸能人真っ青の迫真の演技をする。
「(うわ〜〜〜!!可愛いよ〜〜!!!)う、うん。ごめん覚えてないんだ。」
シンジは本当にすまなそうな顔をする。
キョウはシンジから笑いながら離れてこう言った。
「ごめん、ごめん。ちょっとからかっただけなんだ。許してくれ。」
「?????」
シンジは困惑している。
「これなら判るだろ?」
キョウはそういってカツラを取った。
ピシッ
そんな擬音がぴったりくるようにシンジは困惑のあまりまた固まる。
「ん?おーーーい、どうしたんだ?シンジーーー」
キョウはシンジの顔の前をピラピラさせるが無反応。シンジの頭の中もこの部屋のように真っ白だった。
シンジが再起動するのに何分かかったのか、それはキョウのみが知っている。
一方シンイチはもうすでに起きていてシンジ達の部屋に向かっていった。
コンコン
「シンジー、キョウー、入るよ。」
プシュ
「何でシンジ固まってんの?」
「いやー、ちょっとシンジをからかったらこうなってさ〜、ドウシヨ?」
「はぁ、僕に聞かないでよ。シンジー。」
シンイチはシンジを揺さぶる。シンジが目を覚ます。
「うわ〜〜!!僕と同じ顔だ〜〜〜!!!」
「「それはもうやっただろ!!!」」
シンイチとキョウの言葉はぴったり一致していた。
「それに同じネタはつまらん!!!」
キョウはシンジに突っ込みを入れる。
「(ネタなの?天然の間違いじゃないの?)」
シンイチは過去の自分を見て思う。
「さぁてと、シンジ。シンイチも迎えに来たし行くか。」
キョウは二人に言った。
シンジは昨日のことを思い出していた。
ネルフ医療棟
「・・・シンちゃん!」
そういって声をかけてきたのは、ユイだった。
「母さん・・・」
「シンちゃん・・・」
ユイは突然、シンジを抱きしめた。
「っ・・・か、母さん?」
「・・・ごめんね・・・シンちゃん・・・」
戸惑うシンジを、ユイは精一杯抱き締めて、涙声で詫びた。
「・・・母さん・・・教えてよ・・・何で・・・」
シンジのその言葉に、ユイはシンジから離れ、じっとその瞳を見つめた。
「・・・わかったわ。私の知っていること、全て教えてあげる。
まず・・・あの化け物の事から・・・あの化け物は、使徒と呼ばれているわ」
「・・・・」
シンジはそのことに対しては知っていた。キョウから渡された書類に書いてあったからだ。
しかしシンジは何も言わなかった。
「神の使い、つまり、天使の事よ。
もちろん、実際に神の使いだという証拠は何もないし、 わかっていることは何も無いわ。
生態、種類、生息数なども・・・」
「そ、それじゃ、どうして・・・」
「通称よ。正体不明の化け物、じゃ呼びにくいでしょ」
「・・・」
「で、私たちネルフは、いつかあると予想されていた使徒の襲来に備えるため、 結成されたのよ 。
私たち人類は、使徒が存在していることを知っていたのよ。」
ユイはそう言って、遠くを見つめて語りだした。
セカンドインパクト。
それは、西暦2000年9月15日に起こったとされる、 南極への巨大隕石の衝突だとされてきた。 だがそれは違った。
真実はこうだ。
1999年、南極で未発見だった地下空洞で謎の生命体が発見された。
早速国連から極秘裏に調査隊(ミサトのお父さんがこの調査隊にいた)が送られ、彼らはその生命体について調査を始めた。
同じ頃、南極の地下空洞と同じものが、日本の小田原の地下にあることが発見された。
日本政府は国連と協力して、極秘裏に地下空洞を掘り起こし、そこで、南極の謎の生命体と同じような存在を発見。
(これが現在のジオフロント、ネルフ本部である)
それらは、南極のものがアダム、日本のものがリリスと呼称されることになった。
そして精力的な研究の結果、アダムとリリスは対になる存在であることがわかった。
そして運命の日、研究を続けていた科学者達は、アダムの力が異常に高まっている事に気付いた。
彼らはアダムを押さえようとしたが、人類の手ではどうしても押さえきれず、 その力は地球上を駆けめぐり、何億人もの人が死んだ。
それがセカンドインパクト。
そして、力を使い果たしたアダムは、胎児の状態にまで還元したのだ。
しかし研究を続けていくうちに、アダムとリリスの他にも、使徒はまだたくさん居る事がわかった。
そして、アダムが力を失った今、使徒はリリスを目指して この第三新東京市に向かってくることも・・・
これがユイの説明である。しかしシンジには重要な事を言っていないと判っていた。
キョウから渡された書類である。そこにはゼーレについても書いてあり死海文書についても書いてあったのだ。
もちろん人類補完計画についても・・・
キョウやシンイチはシンジに全てを知ってもらい、その上で乗るか乗らないかを決めてもらいたかった。
そこで否定してもその権利はあるからだ。例えそれで人類が滅亡しようともキョウやシンイチは文句は言わないだろう。
シンジはユイが本当のことを言わなくてもそれでもいいと思っていた。
いっしょに住んでくれるなら・・・・
「母さん・・・一緒に・・・暮らせるの?」
「その・・・」
ユイは言いにくそうに言った。
「そ、その、今、母さん達は、上の街に家を買ってそこに住んでるんだけど・・・
実は、レイと一緒なの。レイってのはファーストチルドレン、その子もエヴァのパイロットで研究所でお世話になった人の娘だったんだけど、
その人達が亡くなってしまって、身よりもなかったから、私達が引き取ったの。
で、あんまり大きい家じゃないから・・・その・・・シンちゃんが住むには 部屋数が足りなくて・・・」
ユイがそう言うと、シンジは表情を消して言った。
「・・・そう・・・わかったよ・・・母さん達が、僕をいらないって事がね!」
シンジはそう叫んで母を突き放した。
「ち、違うの、シンちゃん!」
ユイは慌てて否定したが、シンジは横を向いた。
「何が違うんだよ!どうせ、僕なんかとは一緒に居たくないんだろ!だったらなんでその子は良くて僕はだめなんだよ!!」
「シンちゃん!」
「本当のことだろ!!パイロットとして呼んだだけで僕のことは必要ないんだろ!!その子のほうがいいんだろ!!!」
パンッ
ユイがシンジの頬をビンタする。
「あ・・・し、シンちゃん、ごめんなさい。」
「・・・・・」
「し、シンちゃん?」
「・・・出て行ってよ!」
シンジが叫んで、ユイを睨み付けた。
「・・・シンちゃん・・・」
ユイは、がっくりと肩を落とした。
「・・・」
そのまま黙り込むシンジに、ユイは一度時間をおいた方が良いと判断し、 病室から出て行った。
シンジは、浮かんできた涙を乱暴に手で拭い、ベッドから降りた。
「・・・」
黙って病室から出て、辺りを見回す。
「よ、シンジ。どうしたんだ?もう夜遅いぞ。」
キョウはやさしく声をかける。
「・・・キョウ・・・」
「シンイチのことか?大丈夫だよ、ちょっと疲れてるだけだから。」
あの後シンイチはエントリープラグから出てきて倒れてしまったのだ。
「うん。」
シンジは気のない返事をする。
「・・・・・シンジ、俺にはユイさんと何があったのかはわからない。
でも愚痴を聞いてやることや一緒にいてやることぐらいはできる。
こんな俺でもね・・・・。」
「キョウ。」
シンジは泣きそうだ。
「・・・部屋に戻るぞ。」
「・・・・うん。」
シンジ達は部屋に戻っていく。
「・・・・ありがとう。キョウ。」
「どういたしまして。シンジ。」
夜は更けていく。
<本部・司令室>
シンジに会う前,キョウはゲンドウ達と話をしていた。
そこには、碇ユイ、碇ゲンドウ、赤木リツコ、赤木ナオコ、冬月コウゾウ、そして本部で迷っていた葛城ミサトだ。
「どうも、さっきはあんまり話せませんでしたね。あらためて言わせてもらいます。
ネルフアメリカ第一支部技術部二課部長兼保安部部長、神楽キョウ二佐です。
本日からネルフ本部に出向することになりました。私の弟、フォースチルドレンも同じです。」
キョウはこのメンバーに睨まれているのを軽く受け止めていた。
よほどの馬鹿かそれとも強者なのか一見キョウは前者に見えるが後者だ。
それはよほどしっかり見ないと前者に見えてしまうほどだが・・・・
「ハハハ、そんなに睨んでどうしたんですか?そんなに俺の顔がめずらしいですか〜?」
キョウは笑ってみせる。しかしそれはなぜかアメリカ人ばりの笑い声だった。
「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」
しかし反応なし・・・
「ふぅ、わかりました、わかりましたよ、俺のジョークがそんなに面白くないからってそんなに拗ねなくても・・・・」
「そんなんじゃないわよ!!!!」
ミサトが叫ぶ。キョウにからかわれて怒りが爆発したのだ。
「あなた何者よ?」
「神楽キョウです」
キョウは普通に返事を返す。
「そんなこと聞いてるんじゃないわよ!!!!」
「では何を聞いているんですか?意味が良くわかりません。」
ミサトはついに切れる。
「このガキが!!」
ミサトはキョウに殴りかかる。しかしその拳は当たらない。
ミサトは上段の蹴りを放つ。しかし当たらない。他の人たちは驚いていた。
まがいなりにもミサトは戦闘訓練を受けているのだ。それを素人目でもわかるような綺麗な避け方をしている。
最小限にしか動かずミサトの拳や蹴りをすれすれで避けているのだ。
ミサトはさらに拳を繰り出す。
「ふ〜〜、ガキはあんたですよ。いきなり殴りかかって・・」
「な!!」
ミサトの目の前から急にキョウが消える。
トンッ・・・
キョウの手刀がミサトの首に放たれる。
ミサトは意識を失い倒れかかるがキョウに受けとめられる。
「さぁ、始めましょうか?会議をね。この人なら心配いりません。気を失っているだけですから。」
ゲンドウ達は身を構える。
「そんなに緊張しなくてもいいのに。この人は爆発寸前でしたから会議の邪魔なので眠ってもらいました。」
キョウは静かに言った。
「さぁ、始めましょうか?この先についての話し合いを・・・この先の人類についてのね・・・・」
後書きのようなもの
どうも〜シュウジです。
最初、ユイとシンジは仲良しにしようと思っていたんですが(髭は論外)キャラが勝手に動きこうなりました(笑)
う〜〜〜ん、最近キョウばっかし動いているみたいでシンイチがぜんぜん動いてません。
でもシンイチとシンジを絡ませるのが大変なんですよね〜(苦笑)
キョウの過去については少しずつ明かしていきますので気長に待っててください。
感想などよろしくお願いします。